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Macmini サーバの停電対策

UPSによる停電対策

 計画停電や、非常時の停電に対して対応性を持った小規模サーバーの構築をしています。 使用機器と大凡の消費電力は以下の通り。

  1. Macmini Server version (2011.5.15時点で最新の機種、500GB HDD+240GB SSD)約12-16W
  2. IOdata Hub ETG2-SH5 数W ?
  3. AirMac Extreme Gigabit Ethernet 10W程度
  4. drobo backup HDD system (WD 2GBx3)20W程度
  5. NTT PR-S300SE(GV-ONU)  10W程度

の構成で、CR 1200(UPS)の電力計で測定した定常時の全消費電力は約 57 W(ただし、分解能は 7W と荒く、次の表示は 64 W)。モニターは通常は使用していないので、UPSには接続していません。必要であれば、iPad に入れた iTeleport で WiFi 或は 3G ネット経由でアクセスできます。しかし、この Macmini Serverの省電力性は何とも有り難いことです。

さて、この57 WのシステムをUPSで給電する事を考えます。

用いた UPS は、CyberPower Backup CR 1200 (型番:CP1200SW JP) で、2.5万円程度で売られています。出力は正弦波。ただ、必要電力は供給能力の 720 W よりも遥かに小さいため、CR 900 でも問題ありません。また、もっと安価なCR 725(矩形波出力)でも、蓄電池の種類を選べば良いのかもしれません。

CR 1200 は、12 V 8.5 Ah の鉛蓄電池を2つ直列接続して、24 V 8.5 Ahを直列接続して用いています。メーカーが示している目安の数値によると、50 WのUPS負荷時に120分の使用時間が期待できます。 ただ、今回の様に、3時間に及ぶ計画停電(しかし、東電は実施しない方向で電力ユーザーに15% 程度の省電力の協力を求めているので、実施されない事を願うばかりです)がある場合には中途半端な運用時間になります。蓄電池もほぼ100% 放電してしまうので、蓄電池の寿命にも関わってきます。

そこで、充電池を大容量の物に置き換えて運用する事を計画しました。 用いた蓄電池は、秋月電子の通販で購入した Long の 12V 20Ah の WP20-12 2つで、直列接続で24V 20Ah になります。2つで1万円程度でした。

計算上は、20Ah/8.5Ah ≈ 2.35 倍になりますので、50 Wであれば、120x2.35 = 282 分運用が出来ることになります。反対に、3時間持たせるためには78 W 以下に押さえる必要があります。

UPS サーバー

蓄電池を外付けにした CR 1200。2つの蓄電池を直列接続し、百均のプラスチックケースに収めました。通常使用では全く問題無いが、念のための液漏れ対策と移動に便利です。なお、フタは閉まりませんし、密封環境での使用は避けましょう。この蓄電池の端子は6 mmのネジ穴です。2 mm2 の多芯のビニール線を圧着工具で固定しています。CR 1200の正極側はファストンのメス端子ですが、負極はオス端子。CR 1200にリード線用の穴を開ければパネルを閉められます。

停電中でなければ、電源を切らずに蓄電池のコネクタの付け外しも問題はありませんでした。ただし、充電が済んで、CR 1200 の充電電圧と蓄電池の起電力に大きな差がなかったためと思われます。十分に充電されていない蓄電池を接続する時には電源を落とした方が安全です。

さて、このUPSを接続してMacの省エネルギー設定で見ると、

  • 充電量:120 %

と表示されます(外部蓄電池にする前から同じ表示です。理由は不明です。CR 1200からどんなデータが Macmini に送られ、Macmini がどんな計算をしているのか、の情報が無いので)注1。 その時の蓄電池両端の電圧は、27.6 V。この電圧は、密閉型の12 V 蓄電池の充電電圧として推奨されている電圧のほぼ2倍で、CR 1200 の定電圧充電機能が正常に動作している事を示唆していると考えられます。

コンセントからプラグを抜きUPSに切り替えると、 その直後に 117% に減少し、予想使用可能時間は 1:13 程度と表示され、安定しています。予想時間は、交換した蓄電池で期待される時間より遥かに短いのですが、改造前から出力をほとんどゼロにしても、CR 1200 の表示は90分程度より長くはなりません。

さて、実際にはどうでしょうか。UPS運転開始後、1時間経過した時の数値は、

  • 時間:1:10
  • 充電量:113 %

と表示されています。1時間で、切り替え直後の117% から 4% 減少し、時間表示では、3%減少しました。

UPS内部では、予想ですが、蓄電池の出力電流を元に、データとして書き込まれている蓄電池容量と電圧の関係式から時間を計算していると思われます。従って、使用する蓄電池が変わればその蓄電容量も変わりますので、当然、実際の時間は表示してくれません。

実際に3時間の放電実験はしていませんので、確定的な事は言えませんが、1時間経過後にも(充電量を蓄電池電圧から換算しているとして)ほとんど電圧は落ちていないので、3時間は優に持ってくれそうです。

これで、一応、3時間は商用電源が無くてもサーバーを稼働することが出来る様になったと予想しています。

最後に注意事項ですが、50 WのUPS出力時でも、蓄電池周りのファストン端子関係の接続部分の発熱は見られませんでした。
また、用いた外部蓄電池は、純正の蓄電池と同様に完全密封型で、安全面に関する基本性能は変わらないと期待できます。正極と負極の成分比やセパレーターの構造等の工夫により、過充電時に起こる水の電気分解に伴う負極における水素ガスの発生が抑えられると同時に、水の減少を抑えて、補充の必要性を無くした密閉型を実現しています。UPSの充電機構は密閉型蓄電池の充電電圧(12V で 13.68 V、24V で 27.4 V)に最適に設定されているはずですので、通常の使用には純正の蓄電池の場合と同様の注意で良いと思います。内蔵の蓄電池の場合は一つが逆立ち状態で使用されていますので、それよりも外部電池の方が条件は良さそうです。
外部の蓄電池の容量が大きくなっていますので、放電後の充電電流が少なすぎて、回復に時間が掛かる事も考えられます。この件は、実際に停電して放電が起こった場合にチェックできれば、と考えています注2
まあ、兎に角、改造をされる場合には、良く情報を仕入れて自己責任でお願いいたします。

注1APC の CS-500 の場合は、無負荷時に 4:20 程度の残時間が表示されていましたので、Mac 上の計算ではなく、CR 1200 から来ている情報のためと考えられます。確かに、CR 1200 の液晶表示が100分を超えませんので、内部のデータ処理でリミットが掛かっているようです。

注2CR 1200 の空からのフル充電時間が約8時間となっていますので、8.5 Ah/8 h = 1.1 A で充電しているようです。そうすると、20 Ah に変更しましたので、約18時間かかることになります。毎日停電したり、1日に2回もあると、充電が追いつきそうもありません。しかし、CR 1200 の仕様ですので、UPS の機種を変更するしか道はなさそうです。

2011/5/15記


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