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現代物理学の考え方(後半6) |
● 4He は、1s 軌道が2つの電子で満ちた、とても安定な元素です。そのため、元来、4He 原子間の相互作用がとても弱い性質を持ちます。更に、4He は水素の次に軽いため、物質波の不確定性原理 ΔpΔx ≈ ℏ から、Δx が原子半径よりも大きくなり原子間相互作用が更に弱められ、4He は固体になりません。
3He は、電子数は2つですが、核子(陽子、中性子)を3つ持つので Fermi 粒子です。極低温で超流動を示す事が知られていますが、やはりボーズ粒子になるために2つの3He 原子が対を作ります。
水素原子は He 原子より電子数が1つ少なく、1s 軌道が満ちていないため水素原子間の相互作用は4He よりかなり強く、20Kあたりで液化し、14K近傍で固体になります。
He の次の Li は電子数が奇数なので Fermi 粒子です。
● 液体Heの噴水に見られる様な「流れ」は運動量ゼロの状態の弱い励起状態として理解されます。このような流れは量子状態の「位相」が変化する事で起こります。その運動量(例えば一秒間に数センチメートル)に対応する物質波の波長(位相が同じ領域に相当)は原子間距離の数千倍以上と長く、マクロな数のHe原子が揃った量子状態にあると考えられます。粘性が生じるためには、これらの同一の量子状態にあるHe原子が同時に全て常流動状態になる必要があります。これは確率的にとても起こりにくい事です。
● 超伝導体は、磁場を外部に押し出すマイスナー効果を示します。超伝導体の表面に流れる遮蔽電流によって磁場と逆方向に磁化する事で実現されていますので、完全反磁性とも呼ばれています。
マイスナー効果と似ている状態として、絶対零度で電気抵抗がゼロの理想的な金属に期待される「完全導体」があります。完全導体に磁場をかけても遮蔽電流が流れるため、やはり磁場は内部には侵入出来ません。しかし、マイスナー効果と違って「完全」導体になる前に磁場を掛けると、最初は遮蔽電流で入れませんが、有限の大きさの電気抵抗があると、徐々に遮蔽電流が減衰し、内部に磁場が侵入してしまいます。超伝導体の場合には、超伝導状態になる前に内部に侵入していた磁場も超伝導遮蔽電流によって押し出されてしまいます。
● 磁石の上に浮上した超伝導体の上に、更に超伝導体を載せたら浮くのか?超伝導体自身の磁気的な性質は反磁性です。反磁性体同士が互いに反発する様な力が現れる理由は見当たりません。重力が働いていますので、2つの超伝導体が重なって磁石の上に浮上するはずです。