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現代物理学の考え方(後半)

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現代物理学の考え方(後半)

● 粒子と波動の二重性:光や粒子のエネルギーは(量子化された)塊として運ばれている(粒子性)。蛍光板(テレビのブラウン管の様に電子が当たると光る)の様な検出器で観測すると、その位置が点として見出せる。
 しかし、観測して位置を確定しない限り、何所に電子が存在するのかは、波の様な存在確率の分布(物質波、波動関数)によってしか予測出来ない(存在確率の波動性)。

● (名古屋くんへ)ニュートンは、光の屈折を光粒子間の万有引力で解釈しましたが、この考えは否定されています。
 屈折する理由は、媒質(空気、水、など)によって光が進む速度が異なるためです。

● 光電効果は、光子が電子に吸収されて、電子が高いエネルギーを得る現象を指します。なお、アインシュタインは光量子仮説を立てて実験結果に理論的解釈を与えましたが、実験は19世紀前半からベクレルを初め他の多くの研究者が報告しています。
 一方、電子により光子が散乱されるコンプトン散乱は、光子は吸収されず、通常の粒子間の散乱の様に振る舞う現象です。散乱角に応じて光子の波長(運動量)が変化します。

● (川村くん)光電効果の説明で、紫外線の高いエネルギーが必要だったのは、箔検電器を放電させるためでした。原子内の軌道を移動させたり、金属内の伝導電子の運動エネルギーを増すだけ(金属外には飛び出せない)であればもっと長い波長の光でも可能です。

● 光は、電場と磁場が交互に発生消滅を繰り返しながら伝わる横波(波が進む方向と電場、磁場が振動する方向が直交している波。縦波は、進行方向と振動方向が平行な波。)です。電場、磁場は媒質が無くても存在出来ますので、真空中でも構いません。

● 保科くんのレポートに対するコメントです。
 「粒子と粒子が当たる」ことの理解について考えを書いてくれました。
 この点についての私の理解では、どんな粒子でも観測者が検出器を用いてその位置を観測しない限り、その存在は波動的な性格を持ち、大なり小なり空間的に広がった波(波束)として考えられます。
 そこで、例えば、光子との相互作用を考えると、光子も空間的に広がった電磁場からなりますので、その電磁場と粒子の物質波の時間に依存する相互作用を考えることになります。
 この相互作用の大きさが「衝突」を起こす確率を決め、それを表現するのがハミルトニアンです。
 古典力学的には、粒子と粒子の衝突は、その断面積内に互いが入った時に、衝突係数に応じた散乱を起こします。しかし、波動力学では、両者の波束の空間的な広がりが互いの範囲内に入れば、それらの間の相互作用の強さに比例して「衝突]が起こる確率が決定されます。
 ファイマンダイアグラムが示すのは、その遷移確率の範囲内で散乱が起こった場合の様子を示すのであって、両粒子が出会えば必ず起こると言っている訳ではないと思います。
 なお、1つの光子のエネルギーはその振動数で決まります。光子のエネルギー(振動数)と光の強度(光子の数)は別物ですので、混同しない様に。同じエネルギーの光子の密度が高ければ、光子の数の分だけ粒子と光子の衝突確率も増大します。