EcoFlow Delta2使用記 – Firmwareのversion upで解決

Date: 2023年1月21日
Time: 17:07:56 JST
Topic: EcoFlow Delta2使用記 – Firmwareのversion upで解決

ベランダソーラーを設置し600Wのパネルで居間の負荷に供給している。しかし、居間の回線には1.5kWを消費する台所の電子レンジも接続されているため、700Wのインバーター(FT700)では駆動できず、その度に商用電源に切替が必要になる。時には切替忘れで停電してしまうこともある。また、非常時には冷蔵庫も一時的に稼働させたいとも思うが、コンプレッサーが負荷になるのでインバーターの役不足が懸念される。

そんな昨年の暮れにクリスマス商戦の広告に出会った。

EcoFlow社のDeltaPro(3kWh)やDelta2(1kWh)で、どちらもLi リン酸鉄バッテリーを搭載しており、充放電サイクルが3,000回と毎日充放電をしても10年近く使用できる。更に両機ともExtraBatteryを接続し、容量を拡張可能である。

Delta2の利点

現在のベランダソーラーシステムと比較して幾つかの利点がある。採用したDelta2モデルについて示す。

○ オールインワンで持ち運びが容易。これは故障時には欠点ともなりうる。

○ バッテリー容量の拡張性。Delta2は1kWhの拡張のみで、Liリン酸鉄バッテリーでは2kWhが最大になる。

○ インバーター出力は1.5kWでX-Boost機能により1.9kWまで対応可能。

○ MPPTチャージコントローラーは、11-60V、15A、500Wまで対応。

○ Bluetooth、WiFiに対応し、スマホアプリでモニター、制御ができる。

○ AC, DC, USB, シガーソケットなど出力は種々用意されている。

○ バッテリー容量表示が線形化されていて、状況が把握しやすい。これは校正が不十分だと欠点になる。

この中で最も期待したのがネットワーク対応でした。順調に稼働している限りはスマホで設定、確認、入出力のON/OFFが可能。現在のシステムで欲しかった機能の一つです。一方で、スマホアプリが無いと設定できないパラメーターがあるので、後で述べるリンク切れの際には大きな欠点となりうる。

充放電条件も設定可能:

○ ソーラー優先(放電して容量が30%を切るとACが接続されていれば70%まで自動的に充電する)

○ スケジュール充電

○ 充放電範囲の設定(放電下限は0-30%、充電上限は50-100%)

○ AC充電電力の設定(200Wー1,500W)

クリスマス商戦で価格が割引かれていたこともあり、購入を決意した。当初はバッテリー容量からDeltaProを選択したが、インバーター出力が3kWと大きい点(通常使用電力は1.5kWで十分。自己消費電力が大きくなることを憂慮)と、サイズの大きさからDelta2に変更した。

Delta2とExtraBatteryを合わせて21万円強で購入できた。チャージコントローラー、インバーター、表示機能がついて2kWhのLiリン酸鉄電池付きとしてはお買い得だったと思っている。

さて、実際の使い勝手はどうだったかを以下に整理したい。

使用してみて

電源を入れてスマホアプリを立ち上げると、BluetoothでDelta2を認識した。続いてWiFi接続設定を済ませると、アプリでユーザー登録を済ませた。アプリ内で登録内容を確認できるので安心感がある。しかし、このユーザー登録の意味合いが後に問題になる。

DC入力にソーラーパネル出力を接続すると、入力された電力がW(ワット)表示される。逆に、バッテリー電圧や入力電流の形では確認はできない。バッテリーの負荷もW単位で表示される(下図参照)。入力電力が負荷容量を上回ればDelta2とExtraBatteryにDelta2内のアルゴリスムで充電に回される。この表示は、校正がしっかりしていれば使いやすいと感じる。これも、後に問題になる。

なお、私の使い方ではソーラー充電のみで、AC充電は基本的に行わない。

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トラブルと解決策

1。最初の躓ずきはソーラー充電が出来ない!

早速サポートに尋ねた。サポートへのリンクはアプリ内にあり、親切な作りになっていると感じた(但し、サポートからの回答には平日で3日を要するようだ)。

しかし、この件は自分で原因に気がついた:充電範囲を30-50%に設定していて(迂闊にもAC充電のみに適用されると思い込んでいたため)70%の状態で充電がされなかったのが原因だった。

2。Delta2本体とExtraBatteryの蓄電状況の極端なアンバランス(上図右)。

この状況は放電が進むと更に極端になり、本体が1%でExtraが80%にもなった。その時の利用可能時間は本体の蓄電状況に支配されるらしく10分とか数分にまで短くなる。こうなるとExtraには十分な蓄電量があっても怖くて放電を続けられなくなる。

サポートから得られた対処法は、0%まで完全に放電し、続いて満充電する。その後再度完全に放電してから充電する、というプロセスを2回ほど繰り返すと改善される可能性がある、との内容だった。

この対処法は、現状では蓄電量の線形化に伴う校正が正しくないことを示唆する。

最終的に、この対処法は上手く機能した。

本体が1%、Extraが80%でも気にせずに放電を続けると、利用可能時間の表示は1分になってもExtraから放電しており、最終的に両者ともに1%になった。しかし、利用時間は数分のままいくら放電しても0%にならない状況が続く。時間短縮のためにヘアドライヤーも繋いで(暖を取りながら?)放電を数十分間続けると、ある瞬間に0%表示になった。

翌日の晴天下でソーラー充電を行うと、充電時の本体とExtraの極端なアンバランスは解消していた。放電時も問題ない範囲のアンバランスで済んだので、このトラブルは解決したと考えている。

しかし、この解決を見るまでにもうひと騒動が待ち受けていた。

3。アプリとDelta2のリンク切れ

これは、致命的なトラブルと感じられた。

AC出力をOFFの状態で朝を迎えると、アプリと本体のリンクが切れていた。

これに関連しそうな因子として「システム待機時間」がある。キャンプでの使用の場合などは電力ロスを減らす意味で使用しない時間帯にはシステムも落とすのが良い。しかし、私の場合は自宅内で恒常的に使用するのでその度に電源を入れに行く手間を考えれば「システム待機時間」は常時稼働にしておくのが良いだろう。

さてどうすればリンク切れを回復できるのか当初は分からなかった。

結論として、システムの電源を落として再立ち上げをすれば少なくともbluetoothは接続される事が分かった。

しかし、当初は電源を落とすことにも戸惑いがあり、接続されている外部入力コネクタを外さずに再リンクを試みたが、Bluetoothも繋がらなかった。その理由をサポートに問い合わせても回答は得られなかった。

外部入力があると電源を落とすこと自体が出来ない仕様のようだ。

全ての外部入力を外せば電源を落とすことができ、再起動が可能になる。

そうすると、立上げ時にBluetoothが繋がり、WiFiも再設定が可能になった。

その後はシステム待機時間を常時接続にし、リンク切れは起こらなくなった。

4。現在の設定

現在は、AC入力は接続していない。TPLINKのWiFiスイッチを間に入れて、必要時にオンオフしている。

充電はソーラーのみで、AC出力は翌日が晴天か曇天かにより使い分けている。

晴天予報の時は、9時前後に放電を開始し、バッテリー残量が30-50%で終了している。最低放電は30%以下なら任意に設定できるので、30%以下の場合は電源切替機(OGS-20 福島電機製)を使って自動的に商用電源に切り替えることができる。

非常時の停電対策も必要なので、いざの場合に備えて残すバッテリー量を調整する。

冬季の現在は、AC放電(50-150W程度)しながらソーラー充電できるのは40-50%(1kWh前後)なので、40-50%あたりで放電を終了している。非常時にテレビと照明だけであれば10時間以上稼働できる。

この設定で、ソーラー電力は充電と同時の使用電力も賄うので、1日当たり1-2kWh程度購入電力量を減らせる勘定になる。冬季の必要量の10%強にしかならないが、非常時の備えにはなる。

曇天の予報時は、基本的に放電は停止してバッテリの温存をしている。

5。サポート体制

Delta2のメリットは、オンライン制御、オールインワンの便利さ、バッテリ残量の線形化管理(電圧等は情報が無いが、残量が%で表示されるのは便利)などがある。

しかし、気になるのはサポート体制である。オールインワンなので、チャージコントローラーやインバーターが故障すればバッテリー自身の利用も出来なくなる。セール中に購入したので、保証期間が5年となっているが、実際にサポートが無ければ無意味になる。

アプリのリンク切れと本体とExtraBatteryの間のアンバランスでサポートに連絡をした。

アプリ内にサポートへのリンクがあり、便利である。しかし、応答は3日以内とされており、実際に3日以内には来るがその前には応答は無いと考えた方が良さそうである。

サポートの内容であるが、本体とExtraのアンバランスに関しては妥当な回答を受け取ることができた。

一方、リンク切れについては有効な示唆は得られず、チェックしてみたいので引き取りたいとの連絡があった。

その際に、製品登録してあるにも関わらず、再度登録内容と同じ情報を送れ、と言ってきた。購入証明も含めた連絡先などである。

製品登録してあるので、その情報を参照してほしいと何度も伝えると、「サポートは製品登録情報にアクセスできない」と信じられない回答が繰り返された。では、何のための製品登録なのだろうか?5年保証も本当に受けられるのだろうか?との疑問を抱かざるを得ない回答に唖然とした。

その後、リンク切れは自己解決したのでその旨をサポートに伝えたが、その後一切の応答は無かった。

この点が改善されない限り、他の方に購入を勧めるわけにはいかないのは当然の帰結かと思われる。

製品が使いやすく価格もキャンペーン中は手頃なので、とても残念に思われてならない。

早急の改善を期待している。

6。追加

2023.4.3 追記

先日、バッテリー残量が60%あたりで、ソーラー充電中に異常が発生した。

AC放電を止めてソーラー充電中に、いきなりソーラー充電が0に落ちる。

試しにAC放電を開始するとソーラー充電が再開される。そしてAC放電をやめて暫くすると、またソーラー充電が止まる。

サポートに問い合わせをしたが、翌日には37%あたりで同様な現象が発生し、どうやっても37%以上に充電できなかった。その後、サポートからレスがあり、SOC(充電状態)のキャリブレーションが狂っている可能性があるので、完全放電、その後の完全充電を勧められた。

100%の時の充電の様子が確かに似ているので、直ちに実行してみた。

そうすると、バッテリー残量が1%になってから10時間以上50-100Wの放電を続けた後にようやく0%になった。

その後、ソーラー充電とAC充電で無事に100%まで充電できた。

しかし、通常の使用状況で充電量の校正値がこれほど急にずれるのはいただけない。

やはり、システムのアルゴリズムは未だ多くの不具合を含むと考えられる。

7。追記2

2023.5.29 追記

最近、Firmwareのversionが v1.0.1.97(v.1.0.4.17(WiFi))にアップされた。

このバージョンアップはこれまで挙げて来た不具合をほぼ改善してくれた。

  1. デルタ2とエクストラバッテリー間の容量のアンバランスが改善された。
  2. 容量表記の校正が改善され、残量が0%で直ちに放電が終了する。
  3. 今の所、WiFiも順調のようだ。

放電可能容量も系統的な確認はしていないが、バッテリー容量の2kWhに近いという感触が得られた。

8。追記3

2024.1.23 にデルタ2MAX をオークションで112,000-10,000=102,000円で購入。

2023.12.18 に72,000円で購入したデルタ2MAX用のエクストラバッテリーと組み合わせ、居間用に4kWhの供給体制が整った。4kWhのLiFePO4バッテリーに2kWのインバーターがついて194,000円は格安と思われる。難点は、メーカーから直接購入していないので、故障の際には修理ができないかもしれない。

デルタ2MAXは、サイズの点で設置場所の検討を要したが、2kWのインバーターは1.5kWを使用してもほとんどファンの音がしないし、電子レンジとカーペットヒーターの同時使用も可能だ。

商用電源からの充電は、1.6kW入力に固定されているが、充電中もファンの音は気にならないので、10%(400Wh相当)を充電するのに十数分ですむ。

ソーラー入力は、デルタ2の容量、11-60V, 500Wが二系統用意されている。

現在は、ベランダに設置したGWソーラーの100Wパネル2枚直列(43V)とAllPowersのSF200P(200Wフレキパネル 38V)を並列で入れている。2月で80%以上は出力してくれる。

従来使っていた、デルタ2+エクストラバッテリー(2kWh)は3Fの小屋裏に移動し、屋根に乗っているOMソーラー暖房システム用の70W3枚を並列にしてつないだ(直列だと電圧が60Vを超えるため並列とした)。

2月で70%強出力してくれる。

もともと3Fの小屋裏でOMソーラー暖房システム用に設置していた3kWhのシステムと切替ながらの使用を計画している。

このシステムにはベランダの屋根上に100Wのフレキパネル4枚を接続している。

負荷は、晴天時の蓄熱暖房用送風ファン、温水用蓄熱循環ポンプ、床暖房時の送風ファンなどがある。

これ以外に、3Fのインターネット用設備、パソコン、照明の電源も余裕があれば供給したいが余裕はないので、デルタ2系統と切替ながら使用する予定です。