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普通の液体ヘリウム(He I)から摩擦のない超流動状態の液体ヘリウム(He II)へ

極低温下の液体ヘリウムは、火にかけられて沸騰しているお湯の様に、外部から入ってくる熱のために常に沸騰しており、激しく泡立っています.

真空ポンプによって気圧を下げてやると、富士山の山頂(標高3776m、気圧約638 hPa)では水の沸点が100℃から約63℃まで下がることから想像できるように、沸騰する温度がどんどん下がっていきます.気圧が約37torr (約50 hPa、ビデオの圧力表示では装置の正確度が足りず、ちょっとずれています) になると液体ヘリウムの沸点が約2.17 K (ケルビン:絶対温度) になり、超流動ヘリウム(He II) に変わります(相転移).

超流動ヘリウム(He II) には摩擦がありませんので、外部から入った熱が温度を上昇させても、瞬間的に周囲から冷やされ、最終的にその熱はHe IIの液面から蒸発していく気体ヘリウムによって運びだされます.そのために、液体内部で沸騰して蒸気の泡がぶくぶく出ることは全くなくなってしまいます.従って、2.17 K 以下になったとたんに沸騰が止み、水のような静かな液面に変わってしまうのです.

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