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容器の壁をよじ登ってこぼれ出す超流動ヘリウム

超流動になったHe II同志の間には摩擦がありません.しかし、ガラス容器の壁に接しているヘリウム原子にはガラスの原子との間に引力が働きます.

この状況は、ガラスコップの中の水でも同じですが、水の場合には水分子間に強い引力が働いているため (粘性の原因)、一番上にいる水の分子は、その下にいる沢山の水分子に働く重力によって下に引っ張られています.そのために、いくらでもはい上がってガラスコップからこぼれてしまう様なことは通常の条件では起こりません.

ところが、He IIの場合には起こってしまうのです.壁に引っ張られてどんどん登っていき、容器の口を乗り越えて外側を下に伝っていき、最後は容器の下からポタポタたれ落ちていってしまうのです.壁を伝うHe IIの層の厚みはとても薄いため見えませんが、その速度は毎秒数十メートル以上にも及ぶそうです.

ビデオでは、最初にガラス容器の口の辺りを写しています.液体ヘリウムの透明度がとても高いため、液面が観察しにくいのですが、光を当てる角度を調節して見やすくしています.口の直ぐしたに液面が見えると思います.その後、容器の下部まで移動していきます.そうすると、容器の丸く尖った底からポタポタたれ落ちるHe IIが見られます.

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