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親子ボール

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 下図のように、大きくて重い硬式テニスボールの上に軽くて小さいピンポン玉を載せたまま自由落下させ(下図左)、床に衝突した後の振舞いを観察しよう.上手くピンポン玉テニスボールの中心に保てれば、ピンポン玉だけを床で弾ませた場合に較べると遥かに高く、最大で9倍くらい高くまで弾むのを観察できる.

 その理由を考えてみよう.議論を簡単にするために、床との反発係数 e は1(弾性衝突)としよう.概念的には次のように説明できる.テニスボールの質量 Mピンポン玉の質量 m よりも十分に重いので、親子ボールの重心の位置は、ほぼテニスボールの重心(中心)にある.さて、テニスボールが床で反射された直後を考えよう(下図中央)。まず最初に、テニスボールが直前に持っていた速度 -v (鉛直上方を正に取っている)は v に変化する.即ち、床との衝突後の重心の速度は上方に v だと考えて良い.ここで考えているのは、テニスボールは床に衝突したが、ピンポン玉はまだテニスボールに衝突する直前の瞬間である。テニスボールは上向きに速度 vピンポン玉は下向きに -v であるため、両者は相対速度 2v の正面衝突をすることになる.親子ボールの重心がほぼテニスボールの中心にあるため、重心に対する相対速度 -2v を持つピンポン玉の衝突は、静止した壁に弾性衝突するのと同じ振舞い、速度 -2v から 2v への変化,をする.即ち、ピンポン球は親子ボールの重心から速度 2v で離れていく.重心自身は速度 v で運動しているので、結局、ピンポン玉2v+v=3v で床から離れていく.
 ピンポン球が弾む高さは、テニスボールと衝突した直後に持っていた運動エネルギー mv2/2 が位置エネルギー mgh に変わるので、ピンポン玉単独の v の 3 倍の速度が持つエネルギー、即ち速度の2乗の9倍の高さまで上がることになる.

次に、力学的エネルギー保存則と運動量保存則を使って式で予測しよう.

力学的エネルギー保存則

 保存力場(ここでは重力場)内で運動する限り、位置の変化に伴う重力ポテンシャルの変化分は運動エネルギーの変化分とちょうど打消すので、運動エネルギーと位置エネルギーの和は親子ボールの衝突前後で変化しない.又、衝突直前と直後を較べると、位置エネルギーは変化しないので、前後の運動エネルギーの和が保存する:
. (1)

左辺は図の中央の絵に相当し、右辺は右の絵の状態を表す.この2つの絵の間には、親子ボール間の衝突以外には外からは力が働くことはない.この時には運動量も保存する:

. (2)

(2) 式を

Mv'1 = -mv'2 - mv + Mv   (3)

と変形して(1) 式に代入すると、

となり、両辺を整理すると、

が得られる.これを解いて

となる.M >> m の条件下では、 が解になる。しかし、-v は衝突せずに通過する場合なので物理的に除外され、3v が求めるピンポン玉の速度になる。確認のために M=m の場合を考えてみると、(「トンネルしない」条件から、v のみが物理的に合理的な解) と予想される解を与えることが確認できる。