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ジェットエンジンの推進力の運動量保存則による考察

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運動量保存則を用いて4発のジャンボジェット機の推進力を見積もる.

○ジェットエンジンの役割は、後方への運動量を空気に与え、逆にエンジンが前方への運動量を得ることにある.そのために、ジェットタービンで強制的に空気を吸い込み、燃焼により体積を膨張させ燃焼ガスの排出速度を増し、後方への運動量を最大にする.

○ジェットエンジンの開口部の直径は約 2 m とする.回転軸部分の直径を 0.8 m とすれば、有効吸気断面積 S 3 m2 – 0.5 m2 = 2.5 m2 となる.そこから吸い込む空気の速度は、近似的に、ジェットタービンの羽根の走る速度に等しいと考え、毎分約1万回転(毎秒約170回転)と仮定すると、平均直径である約 1 m の部分の羽根の速度 v は、 3 m × 170 s-1 500 m/s1,800 km/h)になる.この数値はジャンボジェット機の巡航速度、約 900 km/h を考えると、尤もらしい値である.しかし、地上で低速の時には空気の粘性も大きく、この数分の一程度になっているであろう.そこで、v 1/3 の約 150 m/s と仮定しよう.

○次に、毎秒ジェットエンジンを通過する空気の質量 M を見積もってみる.地上での空気の密度 ρ は約 1.3 kg/m3なので、

Mt = ρ•Sv = 1.3•2.5•150 〜 490 kg/s (3)

が得られる.そして、吸い込んだ空気とジェット燃料とを混合して燃焼させ、エンジン後部から排出する.その時の排出速度を見積もるには、燃焼後の混合ガスの温度が必要になる.その温度を 2,000 K と仮定すると、常温 300 K 6.7 倍なので、排出ガスの体積も 6.7 倍、従って、排出速度 v0 も同様に 6.7 倍になると考えると、v0 〜 150•6.7 〜 1000 m/s となる(実際には、ジェットエンジンの出口は細く絞ってあるので、もっと速くなり得る).従って、空気に与えた毎秒あたりの運動量(=エンジンが受ける力)は

F = ΔPt = Mt v0 〜 490•1000 = 4.9•105 kg•m/s2 [N] (4)

になる.空気は静止していたので、最初に空気の持っていた運動量 0 kg•m/s であり、ジェットエンジンが空気に与えた運動量は反対向きにジェットエンジンが得る運動量でなければならない. F = MPgMP はジェットエンジンの推力荷重、g 〜 10 m/s2 は重力加速度)より、ジェットエンジン1基の推力荷重

MP 〜 4.9•104 kgw = 49 トン

になる.4基分合計で約 200 トンとなり、全重量 MJ = 400 トンのジャンボジェット機は加速度

a = Δvt = F/MJ = 4MPg/MJ = 200•g /400 = 0.5g 〜 5 m/s2 (5)

で加速される.離陸可能速度、約時速300km(約秒速80m)に加速するためには約16秒かかる(この間測ってみたら、ほぼ16秒で離陸を始めました!!偶然ですけどね、仮定ばかりの話だから。04/12補:ジャンボの場合は、30秒から40秒くらい掛かることが多いようです。A300等の機体が小さい場合には、30秒以下で離陸できるようです).その間の平均秒速は40mなので、滑走距離は最低640m必要で、2500mの滑走路が有れば離陸可能であり、合理的な結果と考えられる.

○この推力は、ジェット機の揚力を生み出すためにも利用するので、加速に利用できるのは推力−揚力になる.揚力は速度の2乗に比例するので、離陸当初はほとんど加速に利用され、離陸時には加速に利用されるのは推力の sin(π/4) 〜 0.7 倍程度になる.そうすると、推力が 3 m/s2程度になるので、離陸まで、30 秒弱掛かることになります。

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